明るい街づくりの活動の一環として、日生協医療部会で取り組みが進むWHO「高齢者に優しい診療所づくり」「高齢者に優しい都市づくり」に参加し、高齢期の人々が主体となった運動づくりを研究しています。
後期高齢者医療制度の廃止をめざし、学習会・宣伝活動・署名活動を更に強めたり、地域医療の崩壊が進む中で、近隣公的病院の民営化問題、救急医療、療養病棟削減問題など、安心して医療が受けられる地域医療のための学習会、自治体交渉を進めたりしてきた平和・医療・福祉をテーマにした活動の延長です。
医療部会は2009年度から「WHO高齢者にやさしい診療所」づくり小委員会を設置。5月17日、梶原診療所を始め12カ所の診療所の参加のもとに「パイロットスタディ(試行版)第1回説明会」を開催し、当スタディの趣旨とスケジュールなどを報告しました(パイロットスタディ)。
(1)アクティブ・エイジング
このプロジェクトの基盤になっているのは、世界保健機関(WHO)が世界中の高齢化を受けて提唱している「アクティブ・エイジング」(PDF)という考え方です。アクティブ・エイジングとは、人々が年を重ねても、生活の質(QOL)が向上するように、病や障がいと向き合いながら、家庭や社会における活動に参加し、安心して生活しつづけることのできる社会をめざすことです。そして、WHOは、アクティブ・エイジングを推進するため、高齢者にやさしいプライマリ・ヘルスケアを具体化するためのツールを集約し、「高齢者にやさしい診療所ツールキット(Age-friendly Primary Health Care Centres Toolkit)」を2008年6月に発表し、日本語訳「高齢者にやさしい診療所ツールキット」を出版しました。
医療生協は、これまでも地域の高齢者の方々の健康を守るさまざまなとりくみを通してプライマリ・ヘルスケアを担ってきました。今回、このプロジェクトを通して、診療所や病院で行われる医療やケアが「高齢者にやさしい」ものであるかどうかを系統的に見直し、さらなる改善に向けて継続的にとりくんでいくことを目標にしています。
「高齢者にやさしい診療所ツールキット」の目的
- 高齢者によりよく対応できるプライマリ・ヘルスケアを行う
- 高齢者の独自のニーズに対応できるよう医療従事者の意識を高める教育を行う
- 高齢者ケアに必要なツールの使用法を解説する
- 高齢者が体験するさまざまな障がいについての意識を高める
- 高齢者のニーズに即したマネジメント・システムに関する指針を示す
- 高齢者にやさしい環境設備を審査する指針を示す
(2)「高齢者にやさしい診療所」とは?
世界の様々な国で調査した結果、WHOは、高齢者にやさしいプライマリ・ヘルスケアのためには、以下の3つが必要であると言っています。
- スタッフが高齢者ケアについてよくトレーニングを受けており、知識がある
- 診療所の受診に関するシステムが高齢者にとって利用しやすいものである
- 診療所内の物理的な環境が高齢者にとって利用しやすいものである
この3つを実現できるように「高齢者にやさしい診療所ツールキット」を用いて、診療所で合計7回の勉強会を開き、学習や診療システムの見直しを行っていきます。学習内容は、「正常な老化」「高齢者とのコミュニケーション」「高齢者の健康増進(ヘルスプロモーション)」「高齢者総合機能評価」「老年医学の巨人(Geriatric giants)」などです。たとえば、「老年医学の巨人」と言われる問題として「物忘れが気になる」「気分がおちこむ」「尿が近い、尿もれがある」「ふらついてよく転ぶ」といったことがありますが、これらの問題の有無を把握して適切な対応ができるようにしていきます。
また、診療所の予約システム、病診連携システム、地域の保健・介護福祉サービスとのネットワークづくりにもとりくみます。診療所の物理的環境としては、アクセス、物理的デザイン、案内標示をチェックしていきます。これらのことを通して、高齢者の方々にとって利用しやすい診療所づくりをめざしていきます。さらに、組合員の皆さんに、「アクティブ・エイジング」の考え方を発信し、診療所を医療や健康づくりの資源(リソース)として活用していただくことをアピールしていきます。
これらのとりくみは2010年3月までに第一段階を終了し、プログラムを修了した診療所は「高齢者にやさしい診療所」として認証することを検討していきます。
(3)地域に「高齢者にやさしい診療所」が増えると!!
「高齢者にやさしい診療所」は、地域の方々が、前向きに年を重ねていく上で重要な医療・健康づくりのための資源(リソース)です。このような診療所が地域に増えることで、誰でも豊かに年を重ねながら、その人らしく生きがいや役割をもって生活しつづけられる「まちづくり」につながるでしょう。 医療生協では、医療生協の健康観に基づいて、すべての人々が安心して生活できる「まちづくり」をめざし、組合員の皆さんと協同して「高齢者にやさしい病院・診療所」が全国に広がるようとりくんでいきます。


















